「OpenCV詳解」は、本当に買って良かった。

先日も紹介(http://d.hatena.ne.jp/htee2006/20090901/1251827858)したが、オライリーOpenCV本、詳解 OpenCVは、本当に役に立ってくれている。買って良かった。

なぜ役に立つのか、その最大の理由は、眺めているだけで「APIの発見と再認識ができる」ことにある。ver0.9 のころから数年に渡って OpenCV を使っている私にもやはり発見があるのである。(私の今までの使い方が浅かったのかも知れないがw)

たしかに、OpenCVの純正APIマニュアルは、かなり充実している。 opencv.jp さんの尽力のおかげで日本語でも読める。しかし、実際に実用的なアルゴリズムを組もうとするとき、APIAPIをつなぐ「流れ」のようなものを掴む必要があるが、それには慣れというかコツのようなものが相当必要であった。

また、独特のネーミングセンスで命名された関数名や、純正APIマニュアルではその存在を知ることができない便利なマクロなどは、知らずに自作したりして、後になって「ああこんな関数があったんだ」と驚く(がっかりする?)ことがあった。例えば、 cvWarpAffine を使うときに欠かせない cvGetAffineTransform 関数の存在をなぜか最初私
は知らず(マニュアルでもすぐ隣にあるのに!)、自分でコーディングしていた。知っていればあの数十分だったかの時間を無駄にしなくて済んだのだ!。

OpenCV詳解」では、著者がガイド役になって、分かりやすいストーリーに沿ってOpenCVAPIを順に紹介=詳解してくれる。ちょうど、あえて自分の住んでいる街を巡る観光バスに乗り、ガイドさんの話を聞きながら車窓の景色を眺めている時のような感覚だ---車窓に映る街は一応知っている街なのだが、ところどころに今まで知らなかったスポットの情報が提供され、さらに深く、また新たな視点でその街を見ることができるようになっていく----運転する必要もなくただ耳を傾けているだけで、楽々と情報を仕入れていくことができるのだ。特に、"Structual Analysis" や "Motion Analysis", "Camera Calibration" 辺りの街並はそれなりに複雑で、所々に「知らないビルや路地」があったが、このガイドのおかげでかなり土地勘が深まり、見通しもよくなった。

というわけで、仕事や研究でこれから本格的に OpenCV を使いたい人には、本書は絶対にオススメである。たった4830円で、仕事にかかる時間をとてつもなく短縮してくれるだろう。