ひさびさにアタリ! 「一家に一冊」的、画像処理テキスト「コンピュータビジョン最先端ガイド」

ここ数年は、日本語で読める良質な画像処理/ビジョン系の基礎的テキストとしては、「コンピュータビジョン」や、「パターン認識と機械学習- ベイズ理論による統計的予測
」などに主にお世話になっていたけれども、そろそろ2000年代中盤以降の最新トピックには追いつけない感じになってきていた。これらのテキストに出てこないような理論を使った論文がどんどん増えている。

そう思っていた矢先、ちょうど良い本が出版されていた。(4月に出ていてアマゾンの欲しいものリストに入れたままちょっと忘れていた。)CVIMで評判の良かったチュートリアルシリーズをまとめた本「コンピュータビジョン最先端ガイド」である。

なつかしのスネーク(Snakes)がよみがえった"レベルセット(Level Set)"、いま大流行の"グラフカット(Graph Cuts)"や、"パーティクルフィルタ(Particle Filter)"、多視点画像へつながるテンソル(Tensor)の解説、いまや識別機の花形、デジカメでも頑張っている"アダブースト(AdaBoost)"(カタカナで書くと格好悪いな)といったまさに2000年代中盤以降に注目されているトピックを丁寧に解説してくれている。

なにより嬉しいのは本体の解説の数式の展開等が丁寧なだけでなく、実装サンプルコード(C言語)を付記してくれている所である。私のようなコードベースで話をするのが好きな人間にとって読みやすくてありがたいし、アルゴリズムをちょっと動かして試してみたいときに多いに助かる。

そして、驚きなのがこの内容で2000円という驚異的低価格。サンプルコードつきでっせ!執筆陣も一流の先生方だし、これはもう是非買い!である。画像処理屋さんの「一家に一冊」本と思って間違いない。

この本は今後シリーズ化されて、秋には第2段が出る予定だそうである。とても楽しみなシリーズである。是非このコンセプトとクオリティのまま続けていただきたい>アドコムメディアさん。(私の直感ではかなり売れるヒットシリーズになると思う。)